日々は優しさで溢れてる。

心に傷を抱えてきた幼少期。我が子を授かり、それに苦しんだ。けれどもね、山が教えてくれたの。いきてる価値は誰かが決めるもんじゃない。自然は平等に、生きるための恩恵をいつも与えてくれてた。生きることの喜びは自分で感じていくものだから。そうして今を生きることを積み重ねてる。

弱った蝶々。

うちに蝶々が入ってきた。

そのタイミングだったのかわからないけど、その蝶は羽が傷つき弱ってた。

 

うちから出してあげるために、娘が捕まえたその子は、羽が傷つき、長い時間飛べない状況になってた。

かわいそうだから逃がしてくる。

カゴを開けて、外に置いておいたけど1日立っても出ていかないので、お家でお世話をしてあげて、元気になったら放してあげたい、とまたうちに連れてきた。

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じゃあ、そうしようか。

でも一日、カゴにいておなかすいてるんじゃない??シロップ作ってあげたらいいと思うよ。

 

そうしてティッシュに梅シロップを垂らしてあげると、ちゅうちゅうと吸い始め、みんなでよかったね、って顔を合わせた。

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飲んだ後は、こっこの作った紙のお家で遊んでは休み、その日は元気に過ごした。

 

次の日もシロップあげてお家で過ごしていたけれど、どこかのタイミングで羽がちぎれてしまい、それに気づいたこっこは号泣。

「この子を元気にして逃がしてあげたかったのに、こっこにはお世話できないんだ!!」

かわいそう、かわいそう。

そう行ってしばらく泣き続けてね、その感受性に胸がキュッとなった。

 

それを見てさっき自分が布団を干した時に、当たったのかもしれないと大ちゃんは心を痛めて謝った。

こっこのここまでの悲しみを初めてみた大ちゃんは、じぶんのせいかもしれないと終始頭を抱え落ち込んでた。こっこと蝶々に一生懸命謝ってた素直さにまた胸がキュッとなる。

 

そうしてしばらくして落ち着き始めたこっこに一つだけ伝えた。

 

「昆虫はね、普通は身体が切れてしまったら基本的に戻らないまま弱って行くと思うの。

野生で生きていくって厳しいことで、身体が自分の思うように使えないと身を守っていけないからだと思うんだ。こっこが大事にお世話して元気になることがあるかもしれない。でもね、死んでしまうかもしれない。辛いと思うの。この子の背負った運命だから、どうなっていくかは神様にしか決められないと思うの。今日このままお花の上に逃がしてあげるのも、一つの方法だと思うよ。どうする?」

 

「元気になるかもしれないから、お世話を続けてみる。」

そう言ってちぎれた羽を大事そうにおうちの隅に置いたはこにしまった。どれくらい生きてくれるかは神様しかしらない。

けれども大事にしてるちょうちょちゃんが1日でもながいきしてくれたらいいね。

そしてそのあと、大ちゃんは必死に蝶々の羽が戻らないのか調べてた。いい答えは出なかったけど、本気の優しい気持ちを感じた。

 

そして次の日。

朝からホテルごっこを思いついて昼ごはんも夜ご飯も自分で作ったこっこ。

珍しく一日中、没頭して過ごした。本当に一日中、頭をくるくる使いながらすごした。

その姿に私もすっかり忘れてたちょうちょちゃん。

そうしてね、夕方になってこっこが蝶々ちゃんのことを思い出したの。

 

「あ、大変!蝶々ちゃん!!」

そう言いながらお家を除いて絶句。

「蝶々ちゃんが倒れてる!!」

「喉が乾いてるのかもしれない、急いでシロップ作ってあげて!」

 

すごい手際の良さで作ってもってきたこっこが手の上に乗せた蝶々ちゃん。

「飲んで!少しでいいから飲んで!」

そう言って何度も飲みやすい位置に持って行ったけど、蝶々ちゃんはシロップも飲めなくなってました。

「蝶々ちゃんごめんね!こっこが一日中遊んでなければ元気だったかもしれないのにごめんね!!」

「こっこがホテルごっこをしていなきゃよかったんだ。(明日もやるって言ってたけど)もうやめる。蝶々ちゃんを忘れちゃったなんて!」

と自分を責めるこっこ。

 

シロップは飲めないのに、こっこが謝るたびにフワフワと弱く羽を一生懸命動かす蝶々ちゃん。

「蝶々ちゃんなんか言ってるよ。」

「もういいよー、蝶々ちゃん頑張らなくていいよー。」

と30分くらい号泣。

 

「もう私たちには、どうしようもないね。このままシロップのそばに置いておいてあげようね。もし明日の朝も生きていたら様子を見よう。本当に死んでしまってから埋めてあげようね。」

なんどもごめんね、ごめんねと呟きながら蝶々ちゃんをフワフワのハンカチの上に大事において、こないだちぎれた羽も大事そうにそばに置いて眺めていました。

 

「こっこの大事なこのハンカチとこの子の大好きなお花を一緒に埋めてあげる。」

涙いっぱいでそう話しながら眠りについた次の朝、蝶々ちゃんは動かなくなってました。

 

朝ご飯を食べた後、風で飛ばされないように大事に蝶々ちゃんとちぎれた羽を抱えて埋めにいきました。

いつ見つけたのか、小さなお花が咲いてるいいところがあるからあそこに埋めてあげたい。あそこなら妖精が迎えに来てくれてお空に連れて行ってくれるから、そう言って穴を掘ってふきの葉っぱの上に、大事にのせました。

「ごめんね、でもこっこのとこにきてくれてありがとうね。もうじきお友達が迎えに来てくれるからね。」

そう言いながらお別れをしたこっこ。

みんなで同じ気持ちでお空に見送りました。

 

一匹の蝶々にみんなで想いを寄せた時間。

いろんな経験をさせてもらった時間。

こっこが本当に感受性が強いことも知りました。

 

自然の中で育った子は優しいから。

そう私たちに言ってくれたおじいちゃんがいました。

いろんなことを味あわせてもらって育ってる心。

自然の中にはたくさんのことがあるんだ。

 

蝶々ちゃんありがとう。

そして自然にありがとう。

こっこの感受性の強さも知ったのでもっと丁寧に彼女の心と向き合っていきたい、そう思います、