日々は優しさで溢れてる。

心に傷を抱えてきた幼少期。我が子を授かり、それに苦しんだ。けれどもね、山が教えてくれたの。いきてる価値は誰かが決めるもんじゃない。自然は平等に、生きるための恩恵をいつも与えてくれてた。生きることの喜びは自分で感じていくものだから。そうして今を生きることを積み重ねてる。

子どもが刃物を持つということ。その3。

長くなりごめんなさい。

 


今日で3日目、完結編です。

 


私が家族四人、山とライフラインのないジャングルで暮らして、大地に素足をつけて学ばせていただいた事を綴っています。

 


昨日は経験によって危険もそれを回避する術も学べるってお話でした。

生きる力を使いこなすのはきっとほぼ経験です。

自分で手足を動かし、見て、考える。

自分の目線で何に配慮する必要があるか、どうやったらスムーズにできるか、その答えを自ら生み出しす日々を積み重ねて習得していくのだと思います。

 


けれども3つくらいになったら、ナイフを持たせる経験を、から始めることはできません。

 


それが3つ目のお話です。

 


ジャングルライフと私が幼い頃からしてきた暮らしには決定的な違いがありました。

 


ジャングルでは大人も子供も一緒に暮らしを営んでいます。

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もちろん学校はあります。

 


けれども、学校が終わると子どもたちは村で遊びながら大人の暮らしのための動きも目にし、身体に刻んでいるのです。

 


ある子がきのみを取ろうとしていました。容易に登れそうもないので、立ち止まって解決方法を考えていると、通りがかった仲間が思いつくが早いか解決するための道具をどっかから調達してくきてくれたのです。

彼らはほぼ自分たちで解決します。

たくさんの人の知恵を見て興味の赴くままやってきた分の力なのでしょう。

 


学校での学びも、一人ワンセットの学習キットはなく、その時に必要な物を彼らがそれぞれ考えて皆で使って学ぶ。

 


日本よりも広く大きい知識は学べないけれど、そうしてあるものでやってみる経験は即戦力として役立つ大切な力だとここで学びました。

 


何かを身につけるということは全て暮らしから繋がっているように思います。

 


赤ちゃんも学んでいます。

 


この村に1歳11ヶ月のジャイ君という男の子がいました。

 


私達が彼のお父さんと仕事をしていた時です。

太陽光パネルを設置している横でジャイ君、ハンマーを使い始めたのです。

 


右脇に私でも重いハンマーの柄を挟み、手で先を支え操る。

左手は小さな頭のついた釘。

 


3分の2ほどうちこむと曲がってしまいます。

けれども彼は確実にその小さな釘を打つのです。

右手で重いハンマーを操り、左手の先で小さな釘をつかんで支える。

 


驚愕でした。

電動ドリルと違って私ですら釘を真っ直ぐに打ち込むのは難しいのです。

 


私が仕事をしていた頃、この年齢の子にボタンはめやファスナーしめなどの玩具を用意していたので、彼が何故こんな事ができるのかを、ずっと考えていたのです。

 


そして最近その答えが1つみえました。

 


彼のお父さんは子どものペースに落として、日々の仕事をする人です。

私たちはそんな愛が溢れる彼のお父さんの敬意と共に学びをいただいています。

 


赤ちゃんなのでお母さんとの時間も多かったですが、お父さんも大好きで一緒に多くの時間を過ごしていました。

 


赤ちゃんの頃の彼はずっと背中でお父さんのハンマーを叩く音や、その仕草も見ていたのだと思います。

 


赤ちゃんの見て学ぶ力は大きいです。

 


そうして私たちの日常を思い出すのです。

 


引き出しに指を挟むから開かない様にする。キッチンは危ないからゲートをつける。

ナイフを出したら命に関わりますから確かに危険です。

核家族の現代、お母さんだけではトイレにも行けず大変ですから危険を回避する道具も大切だとは思います。

 


けれどもそれが当たり前になってる現代、私たちが考える必要があることがあると思うのです。

 


どんなものを大人が使って暮らしているのかを子どもは知る必要がある。

危険だけではない生きていくための学びがそこにはあります。

 


経験者が使うのを見て彼らはその使い方を理解していきます。きっと彼らは生きる為に学びたがってるんじゃないかなって思うのです。

 


タイの伝統的なキッチンは床で作業をします。

農作業の合間、枝を拾って地面に火を起こします。

子どもの目線に暮らしの仕事がある可能性にも目を向けていく必要があると感じています。

 


ここまでが私の刃物にまつわる3つの経験です。

 


赤ちゃんのうちから暮らしを沢山見て身体に刻む事。

 


それを経て経験のある人のそばで自分の手足で経験してみる事。沢山の感覚を自分で味わってそれを積み重ねる。

 


刃物は小さいから危ないのではなく、知らないから危ないのだと私は思います。

 


もし大人が怖いと思うなら、子どもにナイフを使う所を沢山見せてあげて下さい。使い方も危ない事も沢山見れば彼らは身体に刻みます。

 


本物を目で見て自分の中に取り込んだ彼らはナイフをどんな風に使いたいと思うでしょう。

 


どのタイミングで彼らの手に渡すかはそんな彼らを見て決めたらいいと思うのです。